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「南の島の小さな飛行艇会社」  PART II


Chalk's International Grumman G111 Albatross
予期せず現れたG73より一回り大きいグラマンG111アルバトロス
Grumman G111 Albatross
ビミニ島のアクアブルーの上をすべるように航行するG111アルバトロス
Grumman G111 Albatross
ビミニ島のランプに設けられた上陸用斜面を登るG111
Grumman G111 Albatross
ビミニ島に上陸、狭いランプの上で回転するG111
Grumman G111 Albatross
荷物の積み下ろしをするビミニ島の人々
Grumman G111 Albatross
搭乗準備をするG111
Grumman G111 Albatross
車輪を引き込めて離水の用意。画面右上の建物が今回撮影に使ったホテル跡
Grumman G111 Albatross
バハマのパラダイスアイランドに着いたG111
DHC-7
バハマのパラダイスアイランドを離陸するパラダイスアイランド航空のDHC-7
B737
フォート・ローダーデール発ロングアイランド、アイスリップ・マッカーサー空港行きのカーニバル航空のボーイング737
 10時を少し回ったところで家族ふたりを待合い室に残して、私はカメラバッグを肩にして向かいの閉鎖されたホテルに昇ることにした。ホテルは四階建てで波打ち際に建てられており、階上から釣りが出来そうである。コンクリートはあらゆるところにひびが入って、ベランダの手摺りはぼろぼろにさびている。いまにも崩れ落ちそうでとても身を乗り出すことはできない。三階まで階段を登り、全部屋をぐるりと取り囲むベランダのように突き出た通路に出て海を見渡した。エメラルドのベルベットのような海に小さな島が二つ浮かんでいる。手漕ぎボートに船外モーターを取付けただけの小さな船に乗って、静かな海にひとり釣糸を垂れる男がいる。ここはヘミングウェイの「老人と海」のモデルになったところだと聞く。言われなくてもその雰囲気は感じ取れる。さっそくカメラに300mmレンズを付けて、まもなく現われるであろうマイアミからのマラードを待つ。どの方向からとんで来るかわからないが、ここは海全体が見渡せるから逃すことはあるまい。飛行艇の写真を撮るには絶好の場所だと思った。ベランダに座って海を見ていると、ときどき大きなエイがジャンプする。透き通った海の中にエイが遊泳している。

 心地よい爆音がして、右手の椰子の木陰から白い飛行艇が現れた。ファインダーに映ったのはマラードではなかった。マラードよりも大きい、それにラジアル・ピストン・エンジン。これはまさにアルバトロスなのであった。チョークスの新塗装をしている。遂にチョークスはグラマンG111アルバトロスを路線に復活させたのであった。1980年にリゾート・インターナショナル社の特注により、軍用のHU-16を乗客28人を収容出来るように改修したのがG111である。13機がチョークス・インターナショナルに納入され、1982年にマイアミ〜パラダイス・アイランド線に一度登場したもののメインテナンスと、ハイオク燃料の費用がかさむためその後アリゾナの砂漠に保管されていたと言う。これを引っ張りだしてターボ・エンジンに換装する話は聞いていたが、すでにオリジナルのまま路線に就航していたとは驚いた。航空時刻表によれば機材はマラードのはずだったからこの感激はひとしおである。新オーナーの心意気が感じられる。まずは収容能力にアップを計り、売上げ増大をねらっているのか。それに今日我々が乗ってきたマラードが満席状態だったことからして、今が年末年始の書き入れ時だから、大型のアルバトロスでも採算があうのかも知れない。

 ビミニ島からはアルバトロスでパラダイス・アイランドに発つことになった。もともと軍用に開発された飛行艇であるが、その機体から突き出た観測用のドーム形の窓がそのまま残されているのが嬉しい。観測窓の席は取れなかったが、前から三列目の席でマラードよりは居心地がよかった。キャビンは広く座席配置は2-2で中央が通路となっている。マラードでもアルバトロスにしても車輪の収納部が内側に出っ張っているため、旅客機としての収容能力の面では効率的ではない。アルバトロスの場合、乗員は機長、副操縦士の他に添乗員が一人つく。ビミニからパラダイス・アイランドの上空からの景色は素晴らしかった。エメラルド・グリーンの海が続く。

 バハマ諸島の首都ナッソーは人口135400人のニュープロビデンス島の北海岸にあり、パラダイス・アイランドはナッソーから橋で渡るさらに小さなリゾートとカジノの島である。その間が港になっていて、カリビアン・クルーザーが常に二、三隻泊っている。パラダイス・アイランド空港はパラダイス・アイランド航空のプライベート飛行場で、他の主要キャリアーは全てナッソー・インターナショナル空港を利用している。マラードはパラダイス・アイランド空港の滑走路と平行に着水して、滑走路の途中から陸に上がり同空港のランプに入った。

 パラダイス・アイランドに到着して二日目からは気温が急激に上がって常夏の島の天候を取り戻した。バハマ諸島のなかではパラダイス・アイランドが行楽地として最も有名で、日本人観光客も多い。また大きな港があるから夜にはその乗船客がくり出してホテルのカジノは満員になる。橋を渡ったナッソー市内ダウンタウンのメイン・ストリートには免税店が立ち並び、ショッピングで常に賑わっている。海で泳ぐにはパラダイス・アイランドのビーチもいいが、孤島に船で渡るツアーがあるのでこれを利用すると一層楽しい。我々の行ったブルー・ラグーン島は入江が浅くなっていて小さな子供を遊ばせるには都合がよかった。バハマの名産はコンク貝とラム酒だろう。海底の窓から珊瑚礁の魚を見物できるコーラル・ワールドに入る道路と、メイン・ストリートに挟まれる広場には屋台が立ち並び、現地人が山のように積んだコンク貝を殻から出して包丁でさばいている。ここでコンク・サラダと言うのを食べた。ビーマン、タマネギ、トマトを細かく刻んで、コンク貝のさし身と混ぜて、レモンと唐芥子のドレッシングで食べる。生でたべるコンク貝は初めてだが、こりこりしていてアワビより美味だと思った。その大きな貝殻はお土産屋さんで7ドルくらいで売っているが、その屋台の出ている浜にいくらでも捨ててあるのでひとつ拾ってきた。残念だが大きくて荷物になるのでいっぱいは持って帰れない。夜はやはりここの地酒のラム酒を飲みながら、ブラックジャックで遊ぶのがカッコいいだろう。ただし、ラスベガスと違ってカジノの数は少ないので早めに行かないとテーブルは取れない。今回は家族旅行のため、子供が寝てから夫婦でそうっと部屋を出て25セントのスロット・マシーンに取り組んだが、夫婦合わせて100ドルくらいのマイナスに終わった。

 三日間過ごして、12月31日の大晦日にパラダイス・アイランド航空のDHC-7、50人乗りでフォート・ローダーデールに戻った。高度は少なくとも5000フィート以上のフライトであったが、洋上は視界が良かったためコバルトの海に点在する小島が美しかった。

 1993年12月現在のチョークス・インターナショナルの定期ルートはマイアミ・ワトソン島〜ビミニ島間を毎日2往復(始発便はフォート・ローダーデール発、終便はフォート・ローダーデール行き)、マイアミ・ワトソン島からビミニ経由でパラダイス・アイランドに至る便を毎日1往復、フォート・ローダーデール発マイアミ・ワトソン島経由キー・ウエストを週4便、キー・ウエスト〜フォート・ジェファーソン間を週4便というスケジュールになっている。その他日帰りのエア・ツアーがシーズンによっていくつか用意されている。3年前、1990年暮れのニュー・マネージメントの弁ではマイアミからキー・ウエスト、タンパ、クリアウォーターなどにルートを延ばし、さらに許可が得られればハバナまで飛ばしたいとのことだった。まずは抱えている4機のマラードをフル稼働させ、さらにアルバトロスを投入する計画であることを発表したが、その後のニュースによれば1992年春にターボ・マラードをさらに1機200万ドル以上も出して追加購入しており、1993年の暮れにはアルバトロスの復活をこの目で確認したわけで、資金力がいつまで持続するか、採算はとれるか、これからが楽しみである。ちなみにフォート・ローダーデールの整備場ランプには旧塗装のまま放置状態のアルバトロスが2機、出番を待っていた。

(その後、「チョークス・インターナショナル」はオーナーが変って、「パンナム・ エアブリッジ」になり、また現在「チョークス・オーシャン・エアウェイズ」という名前で運行されている。)
地図

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