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金魚のはなし

「飛曹長、知ってましたか?零式小型水偵のニックネームが金魚だって」
「ああ知っとる。多分尾ひれが金魚に似てるからじゃないか」
「冗談じゃないですよ、わが愛機が『金魚』なんて。陸軍じゃ『隼』とか、かっこいい名前がついてます。自分は金魚に乗ってますなんて親にも言えません」
「そうだな。本隊では金魚と呼ばないように徹底しよう。それにしても誰が名付け親かな」

金魚の名誉挽回のためにも、なんとか水偵による攻撃計画を上に提案しなくては、と、藤田飛曹長は参謀長さながら、寝る間も惜しんで企画書の作成にかかっていた。実は艦長から、案があるならばちゃんと文書にして持ってこい、と言われていたのだ。

そして、ついに企画書が完成。藤田はそれを持って早速艦長のところへ相談に行った。
「田上艦長殿、企画書ができました」
「説明せよ」
「私の調査したとろこによれば、ほにゃほにゃこれこれのように準備を整え、○○に××を仕掛け、敵地ふにゃららに於いて何々をシコシコすれば、勝算は堅いと思われます。」
「う〜む。『敵地ふにゃららに於いて』というところはさすがである。鋭い。これは面白い、早速艦隊司令に報告しておこう。この提案どのように展開するかについては、あずかり知らぬところではあるが、そのうち何かお上から命令が下るかも知れん」 田上艦長はその日のうちに軍司令部、潜水艦作戦担当の井浦中佐のところに届けた。届けただけで特に説明はしなかった。藤田飛曹長の書類ですべて理解できると思った。


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