ライト兄弟のイラスト
1992年4月27日
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monument
世界中にいいかげんな「発祥の地」と言うのはいろいろあるけれど、キティホークこそは飛行機発祥の地と呼んで誰も異議を唱える者はないでしょうね。アメリカ東海岸のノースカロライナ州、キティホークは国立公園となっていてライト兄弟の偉業を讃えています。ノースカロライナ州の唯一の観光地でもあるのです。だから、ライト兄弟に興味のない人はノースカロライナ州キティホークに行ってはいけません。何も感動しないところです。つまり日本史に興味のない人が関ヶ原とか、川中島へ行くのと同じで、ただの野原です。ところが、少しでもライト兄弟の事を知っているひとならば、地平線をじっと見ていると、かすかにライト飛行機の4気筒のエンジン音が聞こえてきます。そして、目印に立てられている標識を見て、「はぁ、ここからあそこまで飛んだのか」と当時の様子を脳裏に浮かべることでしょう。そして時間の立つのを忘れて、フラフラとキルデビル・ヒルの丘に向かうのです。



shed

kill devil hill
KILL DEVIL HILL
現在緑に覆われているが、ライトが飛行実験をしていたころはほとんど砂浜だったようだ。ここに強い風が吹き、ライト兄弟に味方した。長く裾を引くキルデビル・ヒル。ここで一回目の動力飛行実験は斜面を利用して行われ、失敗した。小屋の建っているところから相当距離がある。フライヤーを運ぶのには苦労したことだろう。飛行実験はまさに肉体労働であった。そのキルでビル・ヒルの頂上に聳えているのがライト兄弟の記念碑である。
flightline
実験飛行場所
ライト兄弟が実験に使ったモノレールが敷かれ、4回にわたる実験飛行の距離がわかるように着陸地点に標識が立てられている。12月17日、最初の飛行はオービルが操縦し、交代にテストパイロットになった。オービルが最初に達成した12秒、飛行距離120フィートが人類初の動力飛行として記録された。その後操縦に慣れてきた兄弟はさらに飛行距離を伸ばし、4回目のウィルバーが59秒で852フィートを飛行し、フライヤーが多少損傷を負ってこの日の実験は終わった。朝10時半から始められ、4回の実験飛行が終わったのは12時だった。
flyer
FLYER 1903
ビジターセンターになっているライト記念館の中はライト兄弟関連の品物が展示されている。1903年のフライヤーの実物大モデルも展示されていて、その前で係員が、撓み翼の原理、なぜ垂直尾翼(方向舵)が必要になったかなどについて、誰にでもわかるように丁寧に解説してくれる。実際にコントロールワイヤーを動かしながらの説明なので、非常にわかりやすい。これは英語が苦手な人でも理解できる。このへんのプレゼンはほんとに上手いよ、アメリカ人は。
glider 1902
1902 GLIDER
1903年のフライヤーとともに展示されている、これは1902年のグライダーの実物大模型。動力飛行に成功する一年前に製作され実験されたグライダーである。空中で意のままにコントロールできる、当時もっとも進んだグライダーであった。あらゆる面ですでに飛行機として完成されていた。あとはこれにエンジンをつければ動力飛行が可能である、とライト兄弟は確信していた事だろう。

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