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13.爆撃

零式小型水偵はやがてブランコ岬から80キロ位の位置に到達した。眼下はオレゴン州の山並みで鬱蒼たる森林が果てしなく広がっている。

「奥田兵曹、ここで爆弾を投下する。爆弾投下の準備をせよ」
「了解、投下準備しました」
「投下用意・・・テーッ」
76キロ爆弾は深い森の中に吸い込まれていった。爆弾ののリリースによる機体の揺れは藤田の技量により最小限にコントロールされていた。
「奥田兵曹、着弾を確認せよ」
「爆発、炎上しています」

水偵はさらに5キロほど東に移動した地点で二発目を投下した後、軽くなった機体に鞭を入れて再びブランコ灯台を目指した。スロットルは全開、機は次第にスピードを上げ、やがて最高速度の240キロに達した。民家の多い海岸沿いではエンジン音を静かにするためスロットを絞った。しかし急降下することによってスピードは維持される。
やがてブランコ岬を旋回して海上に出たところ、海上には運悪く国籍不明の商船が二隻、9キロメートル間隔をあけて沿岸を北上していた。藤田は急いで機をさらに降下させ、 商船に気づかれないように海上15メートルの低空でその間をすり抜けていった。忍者のように。




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