クイナが元気だ。忍者のように物陰に隠れながら音もなく、折れ重なった枯れた葦のトンネルから出ると、さらに枯れ草の田んぼをすり抜け、水路を跳び越え、人目につきやすい遊歩道をさっさと横断し、薄暗い古民家の池のほとりを探索して、何か朝食らしき物を啄ばんだ。しばらくして来た道を引き返すと、霜降りのあぜ道で立ち止まった。クイナの充血した目は陽の差し始めた南に広がる田んぼを見ていた。春一番が今にも吹いて来るのを待ちかまえているように。
19/2/2 8:21 OLYMPUS E-M1 Mk2 M.ZUIKO ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-14, f6.7 1/1000 ISO1600