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アンリミテッド・クラスはその名の通り、ピストンエンジンのプロペラ機であれば制限がない。双発でも4発でも出場できる。改造はいくら施しても良い。エンジンの改造も自由である。したがってこのクラスには出力3000馬力以上の強力なマシーンが続々と参加してくる。ちなみに4人乗りの自家用セスナ機がだいたい160-200馬力、零戦でも1000馬力前後だからその威力が想像できるだろう。零戦3機分以上の馬力を1機に備えているわけである。これはピストンエンジンの物理的限界に近いパワーだ。最近のレースではP-51ムスタングまたはシーフューリーを改造した機体が主流である。レーサーに最適化するために徹底的に改造されている。一方エンジン能力を極限まで引き出すためトラブルも多い。予選のタイムラップレースでリタイアしてしまう機体も多く、最強のライバルたちがそろって決勝に進出することはめったにない。事故も多い。時には致命的な大惨事を招くこともある。命がけで、しかも大金を消耗するモンスターレースの賞金額は2002年で$565,000だが、これでは割に合わない。飛行機のレーサーはレースでは食っていけない。他の仕事を持って生計を立てている。彼らにとってレースはあくまで趣味だ。したがって国際レースとは言ってもほとんどアメリカのリッチマンだけが出場している。飛行機の維持改造にとてつもないお金がかかるので、寄付金でまかなっているところもある。まばゆいばかりの塗装を施した宝石のようなレーサーを駆って、命がけでゴールドを目指すアンリミテッドレース。これほどゴージャスなエンターテイメントは他にない。レースコースは1周13.3kmのコースを5〜8周。

2002年9月15日、アンリミテッドのゴールドレースはリノの華。最終ゴールドレースの開始される直前、正面スタンドの前に屈強のレーサーが整列し各パイロットの紹介がある。いよいよ4日間の最後のメインイベントが始まる。時計の針は午後4時を少し回っている。ほぼ定刻通りのスタートだ。パイロットの紹介の後各機はタキシングして滑走路へ向かう。ここで風が強くなってきた。強風で砂塵が舞い視界が悪い。各機はエンジンをかけたまま滑走路の端でホールドしていなければならなかった。風はまだ強いが少し視界が良くなったところで各機離陸滑走を開始。ペースプレーンT-33の後を追って上空に吸い込まれていった。ゆっくりと飛びながら間隔をつめて各機は指定されたポジションをキープする。
水平に横一線に並ぶとペースプレーンが急上昇する。スタートの合図だ。レーサーは上空から猛スピードでレースコースに降下してきた。すぐにトップに躍り出たのはスキップ・ホルム氏の操縦する#4「ダゴレッド」。期待の「ストレガ」は一周を回り終わったところでリタイヤ。エンジンの調子が悪いらしい。#232「セプテンバーフューリー」と#5「ブードゥー」が「ダゴレッド」を追いかける。が勝負はすでに決まっていた。余裕を見せ付けるような見事な飛びっぷりでフィニッシュしたのは、今年も「ダゴレッド」だった。優勝スピード747km/h。着陸すると、三位までの機体がメインスタンド前に並んだ。パイロット、スキップ・ホルムがシャンペンをクルーにかけて優勝を祝う。

リノ・ステッド飛行場は風がさらに強くなり砂塵が舞う。スタンドはすでに人がまばらだ。陽が傾き、4日間のレースは終わった。会場に別れを告げて、地上展示されていた飛行機が次々と離陸し家路につく。厳しいレースが終わった後にふと郷愁を誘う。そこにはリノ独特の雰囲気があった。

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