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Hamamatsu 99

発色にデリケートなリバーサル・フィルムを一眼レフカメラに入れて、何万ショットも撮影してきた銀塩カメラマンには、どうしても味のないデジタル画像には馴染めないもの。デジタルカメラはいまや完全に「普通の人」の持ち物になってしまったけれど、それはまだ「レンズシャッターカメラ」の話。デジタルの一眼レフカメラとなるとまだまだ素人の手に届くほどの価格ではないし、たとえ安くなってもフィルムの世界を手放したくない人も多いのではないでしょうか。

ところが即時性を重要視する報道、とくにスポーツではすでにデジタルがかなり使用されています。ここ一、二年で新聞社の報道用カメラは全てデジタルカメラに置き換えられて行くでしょう。
飛行機写真ファンもデジタル・カメラがどれほど威力があるか、その性能が気になるところです。そこで、今回、ニコンの一眼レフデジタル・カメラをちょっとお借りして撮影テストをしてみました。機材はニコン・デジタルカメラD1、レンズはニッコール300mmF4,フィルムは・・・必要ありません。場所は自衛隊浜松基地。エアロフェスタ99(11月14日)での展示飛行です。シャッターは連写モード。すべてAE、AFで撮影しました。シャッタースピードは500〜800を使用。96MBのカードでバシヤ、バシャやりました。フィルムの消費に気をつかわなくていいのです。

フォーマットはファイン・モードのJPGでカメラに記録しました。元の画像は2000x1312ですがWEBのためVGA程度に解像度変換しました。結果は見ての通りです。いずれもフォトショップで多少調整しています。しかもJPGで記録されたものを一度調整して、WEB用にまたJPG圧縮をかけていますから本機の性能サンプルではありませんが、参考にしてください。カラー調整、レベル調整はフィルムをスキャナーで読み取った時よりははるかに簡単です。スキャナーではフィルムの絵を電子化する所に無理があるのですが、デジカメでは最初から電子化された画ですから、非常にモニター画面には相性がいいです。粒子がないためより臨場感があるように感じます。また粒子がないためシャープネス、コントラストも安心してかけられます。立体感もうまく表現されてているのではないでしょうか。


break 会場後方からダイヤモンド編隊で進入、頭上を通過して後尾機と三機がブレークして「レター・エイト」に入る瞬間。左に別れた後尾機は単独で高速360ターンをしてから、右で低速旋回中の三機と合流する。この日の科目は第三区分と第二区分の混成。雲の微妙なグラデーションもよく表現されている。
deltapass 黒い雲が覆ってしまった空をバックに旋回するデルタ編隊。機体にはなんとか日が差している。ディテールも質感も再現されている。しまりがあって、しかもソフトに仕上がり、自然画に近い感じになる。
inverted 「スリーシップ・インバート」は見慣れたアングル。カラー・スモークよりすっきりして見える。多少コントラストを上げても黒つぶれしないところがミソ。
loop 「デルタ・ロール」から会場中心に向けて真っすぐ突っ込んでくる五機編隊。ホワイト・スモークの方が機体のひとつひとつが強調されて見やすい。カラーだと機体の美しさが色に負けてしまうのかもしれない。フィルムからのスキャンよりも遠近感があり、迫力が増しているのがわかる。
roll 「ボントンロール」。画素数が多いのを生かして、横位置で写した写真を縦にトリミングしたもの。WEB鑑賞用にはこれでもまだまだ行ける。D1の威力か。ここまでくるとレンズの性能がかなりものを言う。
screw リバーサル・フィルムでも再現の難しい色味の少ないフラットな画像をフォトショップでコントラスト強調し、立体感を持たせた。いかにもねじ込んで来る感じの「コーク・スクリュー」はショーセンターに位置しないとなかなか撮れない。
diamond トレール編隊からダイヤモンドに編隊を変えながらロールする--「トレール・トゥ・ダイヤモンド・ロール」。実在感のある描写である。
omake オマケ。人物等一般撮影では、D1の性能がさらに発揮される。色再現といい、解像度といい、グラビア印刷にも充分な画質だ。フィルムが無くなる日も近い。そう言えば私が愛用していたKM(コダクローム25)が姿を消してしまったのだ。


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