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2006年龍勢祭


2006年龍勢祭

埼玉県秩父市吉田に古くから伝わるロケット祭りがある。その名を龍勢と言う。

龍勢は矢柄(隆盛のバランスを取り、狙った方向へ飛ばす)となる長い竹を用意し、火薬筒に松材を使い、これを縦に真二つに切って中をくり抜き、それを合わせて竹のタガをかける。火薬は硝石、炭、硫黄を混ぜ黒色火薬をつくる。調合の比率はそれぞれの流派によって異なるが、十(硝石)、ニ(炭)、一(硫黄)を標準とする。これを筒に入れキメ棒、カケヤを使い堅く詰めていく。最後に筒の底に錐で穴をもみ噴射口を作る。

このほか龍勢に取り付ける背負い物(ショイモノ)を作る。背負い物は、火薬筒に取り付けるもので、昔から唐傘、のろせ、吊るし傘などがあり、これらの龍勢は上空に昇りつめた時ひらひらと落ちてくるように仕掛けられている。近年は技術の向上から、「矢柄止」と言う落下傘で矢柄全体を吊った龍勢が、安全上からも標準になった。(龍勢祭パンフレットより)


龍勢 龍勢 龍勢 龍勢
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三年ぶりに秩父の龍勢祭に行ってきた。横浜の自宅を出て、第三京浜、環8、関越自動車道を通って行くのだが、この時期は連休ということもあって交通渋滞はあたりまえ。結局6時半に出て、現地についたのは10時15分。

折からの台風の影響で吉田川は水位を増し、濁った水がゴウゴウと流れている。しかし本日は天気晴朗。若干風が強いが絶好の観光日和である。すでに轟音と共に青空に吸い込まれていくロケットの白煙がのろしのように上がっていた。振り向けば秩父の名峰武甲山がくっきりと見える。そうか、このロケットは何かを知らせるのろしだったのかも知れない。

打ち上げはすでに朝9時から始まっており、この日一日かけて35基の手作りロケットが打ち上げられる。10人くらいでロケットを発射台に運び、装着して神主が祝詞を上げ、口上を述べてから点火される。だいたい15分おきに打ち上げられる。これはロケットの打ち上げ競争ではなく、神事であり伝統ある祭りだ。やぐらのある小高い丘から道を挟んで見学場所があり、たこ焼き、広島お好み焼き、焼きとうもろこしなどの屋台がでる。一応借りの見学場所が設営されているが、それ以外にも道端に座って見る人も多く、見学者の数は8万人にも達するとか。

打ち上げ間隔15分というのは酒やビールを飲みながら楽しむにはほど良い時間である。しかも打ち上げすべてがうまく行くわけではなく、綺麗に上がるのは3割程度。空中で自爆してしまうもの、やぐらにじっとしたまま爆発してしまうロケット、あさっての方向に飛んでいってしまうなど、色々。製作者たちには申し訳ないが、ロケットの打ち上げ失敗がこの行事を面白くしている。首尾よくまっすぐ上昇して行くロケットも華麗だが、失敗して爆発するロケットも実に美しいのである。

2006.10.8 日曜日、椋神社龍勢祭

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【撮影機材】 NIKON D200, AF-S NIKKOR 18-200mm


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