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17.敵機来襲

1942年9月9日、快晴。
艦上で田上艦長へ戦果を報告。
「作戦は成功しました」
「炸裂は確認したか」
「しました。二発とも首尾よく爆発し、森林に着火したのを確認しました」
そのあと藤田飛曹長の目撃したという商船を直ちに追撃、魚雷攻撃することにした。
伊25潜は田上艦長の命令で浮上したまま18ノット(時速33.3キロ)でアメリカ沿岸に向かった。
敵商船が魚雷の射程範囲に入るころ、
「敵機〜」見張りが叫ぶ。
「潜航急げ」「ベント開け」
伊25は急速潜航。深度30メートルに達するころ、爆弾の衝撃が艦を揺さぶった。電灯が消える。「電信室浸水」
完全にやられたかと思ったが、浸水も止まり、電気もすぐに復活した。さらに潜航、艦は深度80メートルでじっと海中にひそんで敵の状況を聴音機で探った。
この日、伊25を襲ったのはアメリカ第42爆撃隊のロッキードA-29ハドソン哨戒爆撃機。緊急発進ではない。日常業務として、タコマのマッコード飛行場を離陸し洋上哨戒していたハドソンはオレゴン沖に日本軍とみられる潜水艦を発見。甲板には乗組員が数名出ていた。撃沈のチャンスだ。しかし発見すると同時に潜水艦は潜航を始め、上空に達し、攻撃体勢に入った時にはターゲットはすでに海中にあった。ハドソンは見えないターゲットに対して300ポンド爆弾を3発投下した。

伊25は爆発の衝撃にも動じずじっと潜んでいた。午後になると今度は駆逐艦らしきスクリュー音が近づいてくる。爆雷をばら撒いているらしいが、爆発音は遠い。でもじっと潜んで日没を待った。




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