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14.帰還

藤田はその後高度50メートルに維持し、洋上を予定のランデブー地点に向かった。やがて水平線に黒く小さな点を発見した。伊25である。作戦中は隠密行動のため緊急時以外は無線交信は出来ない。あらかじめ田上艦長と打ち合わせてあった通りの角度から潜水艦に接近し、左右に翼を振る。これが味方の識別信号になる。
水偵のお帰りを確認した甲板では揚収のための準備であわただしい。

この瞬間に敵に襲われたら最後だ。艦橋では厳重な監視の目が光っている。
小型水偵は潜水艦の右側に着水して、ゆっくりと艦に近づいてゆく。そしてエンジンを停止。それから水偵は艦に引き寄せられ、クレーンで吊って艦上に下ろし、分解され、格納筒に収容される。その間約15分、実に迅速な作業だ。
満足感でいっぱいだ。




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